
『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』はカナダの小説家、マーガレット・アトウッドの小説が原作で、ストリーミングサービスHuluにより制作・配信されております。
現在シーズン1とシーズン2が配信されており、シーズン3の配信も決定しております。
『ハンドメイズ・テイル』シーズン1 あらすじ
地球環境の悪化が進んだ近未来のアメリカにおいて、人類の出生率は著しく低下し、不妊や流産、無事に生まれた赤ちゃんも誕生後数日で死んでしまうという状況となっておりました。
その頃アメリカ合衆国では、キリスト教主義者勢力がクーデターを起こし、アメリカはギレアド共和国となりました。そしてギレアドの指導者たちは、軍国主義と身分主義の、男性中心社会を作り上げ、女性たちは社会進出はおろか、まるで奴隷かのような扱いを受けていました。
出生率が著しく低下する中、数少ない妊娠可能な女性は強制的に集められ、「侍女」と呼ばれ、専任的に妊娠出産に奉仕されられておりました。
そんな時代の中で、主人公のジューン・オズボーンは、かつて夫ルークとの間に、幸運にも女の子を無事に出産することができました。
しかし、ギレアド共和国へと体制が変わったことで、女性の人格がどんどん否定されていき、危機を感じたジューンたちは、家族3人でカナダへ逃れようとしたのですが、追っ手に捕まり、ジューンは訓練センターへと送られ、司令官の子供を産むために教育を受けます。
やがて、オブ・フレッドという名前を与えられ、フレッド・ウォーターフォード司令官の元で儀式を受けることになるのでした。
主な登場人物・キャスト
ジューン・オズボーン(オブ・フレッド)/エリザベス・モス
本作の主人公で「侍女」のオブ・フレッドとして、フレッドの侍女となります。侍女となる前は夫と娘がおり、普通に幸せな生活を送っておりました。
フレッド・ウォーターフォード/ジョセフ・ファインズ
ギレアド共和国の建国から関わっていた司令官の一人で、セリーナを妻に持っています。
妻との間に子供を授かることができなかったため、オブフレッドと儀式を行う。
セリーナ・ジョイ・ウォーターフォード/イヴォンヌ・ストラホフスキー
フレッドの妻で、フレッドと共にギレアド共和国建国の活動をしていました。
エミリー(オブ・グレン)/アレクシス・ブレデイル
グレンの侍女です。オブ・フレッドの買い物パートナーとなっておりました。かつては、パートナーの女性と息子と暮らしていました。女中と関係を持ったため、処罰されました。
ジャニーン(オブ・ウォレン)/マデリン・ブリュワー
ウォレンの侍女です。訓練センターでジューンと友人でしたが、センターで反抗的な態度をとっていたため罰として右目をくり抜かれました。ウォレン家で男の子を出産します。
リディア/アン・ダウド
身分はおばです。訓練センターで侍女の訓練をしている女性で、教えに従わない侍女には暴力にて従わせようとします。
ニック・ブレイン/マックス・ミンゲラ
ウォーターフォードの運転手ですが、目という監視役でもあります。
ルーク(ルーカス・バンコール)/O・T・ファグベンル
ジューンの夫で、ジューンと子供と共にカナダへ逃げる途中に捕まり、銃で撃たれる音がしたため、亡くなったと思われています。
モイラ/サミラ・ウイリー
ジューンの学生時代からの友人で、同性愛者で恋人がいましたが、訓練センターでジューンと一緒に訓練を受けていました。
リタ/アマンダ・ブリューゲル
身分は女中です。ウォーターフォード家で家事を担当していて、ジューンのことを気にかけてくれているようです。
『ハンドメイズ・テイル』シーズン1 見どころ
1,評価の高さ
この『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』のシーズン1は、プライムタイム・エミー賞にて、12部門でノミネートされ、その内、作品賞・主演女優賞・助演女優賞・監督賞・脚本賞・ゲスト女優賞・シングルカメラ部門撮影賞・現代劇およびファンタジー部門プロダクション・デザイン賞の8部門を受賞したほか、ゴールデングローブ賞でも作品賞と主演女優賞を受賞したという、ほぼその2つの賞を総なめという、かなり評価の高い作品です。
また、ライアン・レイノルズ&ブレイク・ライヴリー夫妻をはじめとした海外セレブや、批評家からも絶大な支持を受けているドラマです。
2,独特で、異様な世界観
エミー賞とゴールデングローブ賞を総なめしたということからも分かる通り、たしかにすごい作品なのですが、タイトルから受けるイメージとは違い、この作品の世界観は、かなり精神的にグロテスクで、ダークな世界観となっております。
このギレアド共和国という国は、少数の独裁政権で女性には権利はなく奴隷的であり、自由も名前もなく、著しい規律違反をした者はコロニーと呼ばれる非人道的な施設に送られ、汚染物質の処理をさせられます。
また子供を産むことができる女性は、侍女となり、司令官の元で子供を授かるための儀式という名のレイプを受けるのです。
このように、女性にとっては著しく悲惨な世界となっております。
生活様式も異様で、女性たちは役割によって制服が違い、侍女たちは赤い衣装に白い翼のような帽子、家事を行う女中は薄い緑の衣装で、司令官の妻たちは青緑の衣装を着ることになっております。
侍女が買い物に行くときは、必ず2人で行かなければならず、お互いの見張りをすることが役割となっております。
また侍女は儀式の時に、妻の足の間に頭を置き、仰向けに横たわります。夫の司令官は侍女に触れることはせずに、腰に手を当て動くというとても奇妙なものです。
また出産のときは、侍女が全員集まり、呼吸法をみんなで大合唱し、妻が出産する侍女に、後ろから覆いかぶさるかのように座り、一緒に苦痛に顔を歪めながらいきむという、とんでもない儀式内容となっております。その後子供は、いかにも妻が生んだかのように、ベッドに横たわる妻へと手渡され、侍女からは引き離されます。そして、授乳期間が終わると、侍女は次の家へと子供を産むため遣わされるのです。
シーズン1 感想
この作品は、地上波では確実に放送できないであろうと思われますが、あくまで、インターネットのVODサービスならではの作品だと思います。
インターネットサービスでの制作なので、特定の倫理委員会やスポンサーに縛られることなく、ここまでこの世界観を完全に表現できたのでしょうし、またその世界観により、見る者を釘づけにしてしまうのだろうと思います。
ともかく、あまりにも重い内容なので、一気に見るのはかなり困難かと思っていたのですが、ストーリー展開や映像表現の巧みさで、先が気になってついつい見続けてしまうことになってしまいました。
またストーリーが、現在、センターでの訓練風景、ギレアド政権樹立前の平和な時期・圧政が始まって人々がギレアドを逃げ出すまでが、交互に巧みに描かれていて、どんどん引き込まれていきます。
この作品では、出生率低下の原因が女性にあるかのように描かれているように感じられますが、ジェーンを診察した医師が言った
「周期は予定通りだ。」「意味ないけどね、司令官のほとんどは種なしだから」
というセリフと、その後のジェーンのセリフ
「種なし、禁じられた言葉、そんな男はもう存在しない。産める女と産めない女がいるだけ。」
というところに、女性に対する男の思い上がりや身勝手さやが、上手く描かれていると思います。
ただこの後のこ医師が、妊娠の手助けをしようとするあたりの内容が非常にゲスく、気持ち悪かったです。
この作品の女性たちはかなり悲惨に思えますが、そんな中でも苦悩と葛藤の中、再び子供に会うことに希望を持ち続け、前向きに生きていくジェーンの姿は、見ている人たちに、もしかしたら彼女は助かるかも、という希望を与えてくれます。また、ジェーン自身はどんな時でも決して諦めない心の強さを見せてくれていると思います。
また見ているこちら側も、いつかこの鬱展開から抜け出し、ジューンやモイラ・ルークたちに幸せな日がやってくるんじゃないかと、毎回願いながら見てしまうドラマとなっております。
『ハンドメイズ・テイル』シーズン1 配信先
『ハンドメイズ・テイル』シーズン1はHuluで
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